※ 佐カイ
「寒いなぁ・・・」
「なっ、なんだよ突然・・・」
「寒いなー あぁ寒い!寒くないッスかカイジさん!」
佐原はそう言うと俺をじっと見てきた。
そんなに見つめるんじゃねぇ・・・!ちゃんと棚に品物詰めろ!
今はバイト中だろうがっ!
ただでさえ俺は髪の毛の事をぐだぐだと言われているので、仕事の手は止めない。だが佐原は「あー寒い寒い」と言いながら、だらだらと作業をしていた。
「寒いさ「煩いっ・・・!佐原、お前何が言いたいんだっ」
「ヘヘッ!気になりますかカイジさん」
「気になるも何も、隣でずっと呟かれたら集中もできねぇよ」
待ってましたとばかりに笑顔になる佐原に、思わず悪態を付く。
しかし全く気にしていないのか、佐原はニコニコと今手にしている雑誌に視線を落とした。
俺もその視線を追って雑誌を見る。
「・・・暖房器具・・・?」
「そうッス!暖房器具!コタツとか欲しくないですか?」
「いや・・・うん・・・あったら暖かいだろうけど・・・」
「ですよね!」
「・・・・・お前買うのか?」
「いやだなぁカイジさん!割り勘に決まってるじゃないですか!」
「なっ・・・?!お前馬鹿か!俺はいらねぇよ、そんなもの・・・!」
何を勝手に決めているんだと睨みつければ、佐原は不思議そうに首を傾げる。
な、なんで不思議そうにしてるんだコイツ・・・
「何か変でしたか?」
「変に決まってるだろうがっ・・・!なんでお前が欲しいやつを、俺が半分お金出さなきゃ駄目なんだよっ・・・可笑しいだろうがっ」
「あははっ 何言ってるんスかカイジさん」
面白そうに笑い声をあげた佐原だが、商品を見ていたお客さんの視線に気づき笑い声を止める。
そしてずいっと顔を俺に近づけてきて(「離れろ佐原っ!」「しょうがないじゃないですか〜」)、俺にだけ聞こえる音量で囁いた。
「カイジさんの家に置いて、2人で暖まるんだから割り勘でも可笑しくないッスよね?」
「〜〜!」
思わず真っ赤になってしまった顔を背け、佐原に背中を向ける。
佐原の顔を見なくてもわかる・・・絶対してやったりな顔をしてやがる!
「馬鹿かっ・・・」
「そんな照れながら言っても、説得力ないですよー」
「煩い!」
今年の冬は、2人でコタツに暖まりながら過ごすに違いない。
カイジはお金の心配をしたが、こんな出費も悪くないかと頬を少しだけ緩めた。
「・・・コタツ買ったら、みかん食べるんだからなっ」
「(何その可愛い意見・・・!)」
佐カイのほのぼの…微甘?な小説でした。きっとカイジはコタツと言ったらミカンだろうがっ・・・!とか思ってそうなので、それが書きたいが為に書いたようなものです。でも多分お鍋が先なんだろうなぁ…(どうでもいい