06. Melancholy of cold

今日は朝から天気が良くない。せっかくアカギと出かけようと思っていたのに残念だ。それでもアカギは無表情ながらも、いつもより嬉しそうな気配がする。それもそのはず、アカギがこっちに来てから初めて2人で出かけるからだ。子供らしいアカギに俺は小さく笑みを浮かべてしまう。やっぱ子どもってのは可愛いもんだ。


「・・・カイジさん」
「っん?」
「今変な事考えてなかった?」
「かっ・・・考えてねーよ!!ゴホゴホッ・・・」


アカギは子ども扱いが好きじゃない。俺はアハハとから笑いをしてから、トーストをかじった。人の心が読めるのか?アカギは。
朝ごはんを食べ終えてから食器をシンクに片づけていると、後ろから「ねぇ」と話しかけられた。


「今日どこに行くの?」
「あー・・・特に考えてなかった」
「昨日朝早いとか言ってたくせに」
「何処に行こうが早い方が良いに決まってるからっ・・・!」
「へぇ・・・」


もちろん昨日は勢いのまま言ったから、そんな意味は籠めてなかったんだけど・・・多分アカギにも気付かれているだろう。


「アカギはどこか行きたい所あるのか?」
「俺?」
「おう!俺が居ない間出かけてるだろうけど、遠くには行ってないだろ?今日は少し遠出も出来るぜ」
「ふぅん・・・でも俺近場でいいよ」
「遠慮すんなって!」
「いや、今日天気悪いし雨降ったら洗濯物濡れるから」
「そっか。色々考えてくれてるんだな」
「・・・・・・別に」


ありがとうと素直にお礼を言えば、アカギは照れたようにそっぽを向いた。子どもなんだからそんな事考えなくてもいいのに、と少しは思ったが実は助かった。遠出するお金はあるものの、余裕があったわけじゃない。ただ今日ぐらい甘えて欲しい気持ちもあった。だって、ずっと知らない場所にいるんだぞ…絶対心さびしいに決まってる…!


「どこ行こうか?近場って行ったら・・・・うーん・・・」
「・・・カイジさん」

Melancholy of cold … 風邪っぴきの憂鬱